SS 

ちゃんと見て下さい
1/4ページ目

「あーあ。こりゃあ派手にいったねぇ」


「痛い!痛いです先輩!」


「これくらい我慢しなきゃレギュラーになれないぞ!」


私は笑いながら佐藤くんの膝を消毒液で消毒する。


「はい!よく我慢できました」

最後にガーゼを貼付けると


「いつもありがとうございます」

と言って、佐藤くんは軽く頭を下げた。

「いやいやこれもマネージャーの仕事だから」

消毒液やらテープやらを救急箱にしまいながら、そう笑うと佐藤くんは突然


「あの…。紗耶香先輩って…俺のことどう思ってますか?」

と尋ねた。

「可愛い可愛い後輩かなぁ。
あたし弟いないからさ、佐藤くんといると楽しくて仕方ないんだぁ。まぁマネージャーとしては全員平等に見ないといけないんだけどね」


鈍い私は、佐藤くんの言葉をそのまま受け取り、笑顔で答えた。

「…喜んでいいのか、落ち込むべきなのか、わからない返答しないで下さい」

佐藤くんの静かな声で、言葉の意味を取り違えているのではないかと思いはじめた。

顔を上げると佐藤くんは真っ直ぐ私を見つめている。

私は目を反らすことが出来ず、救急箱を整理する手を止めた。



「俺…紗耶香先輩が好きです」

他の部員達の声や、ホイッスルの音が少し遠退いたような気がした。さっき思ったことが確信に変わる。

でも、今まで「可愛い後輩」としか映っていなかった佐藤くん。
恋愛対象として考えるにしても、急すぎてどうしていいのかわからず言葉が出てこない。


二人の間の沈黙を破ったのは、佐藤くんの弱々しい声だった。

「やっぱり後輩なんて相手にされるわけないですよね。余計なこと言ってすみません。忘れてください」


それだけ言うと、彼は練習へ戻って行った。



[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ