SS 1/1ページ目 「…なんか今日暗いで?どうしたん?」 不意に先生が私の顔を覗き込んで尋ねた。 あまり言いたくなかったが、隠しても仕方ないし、私は小さな声で俯きがちに言った。 「…数学の追試ひっかかりました。」 「はぁ?!どこの範囲のテストで?」 先生の反応は予想通りだった。 「…指数対数」 私が再び呟くように言うと 「この前散々やった所やん。」 そう言って、先生はため息をついた。 「どこ間違えたん?」 「3の2乗なのに2×3したり、引き算間違えたり…」 「うっわ、もったいな!そりゃあ、落ち込みたくもなるわ」 「……。」 なかなか立ち直れない私は、言葉を返せず、しばらく沈黙が続いた。部屋の中には時計の針の音と、外を走る車の音だけが聞こえていた。 すると、先生は突然 「まぁ…もう過ぎたことやし、しゃーないやん。次頑張り。」 そう言って、私の頭をぽんぽんと優しく叩いた。 今まで男の人にそんなことされたことのなかった私は、みるみるうちに顔が赤くなっていくのがわかった。 しかし、先生はさらりと 「あれ?なんか顔赤くない? まぁえぇか。じゃあ追試の勉強しよー。テスト問題ある?」 と言って、いつものように授業を進めていった。 からかわれているのか、鈍感なだけなのか。 それが頭から離れず、私は全く集中できなかった。 授業の最後、先生は片付けをしながら言った。 「あ、もし再追試になったら、今日ほど優しくはせぇへんからな?」 何気ない一言だが、私には十分な破壊力だった。 「じゃ、追試頑張りー。」 先生はいつもの人懐っこい笑顔でそう言って帰っていった。 私は、ほてる顔に両手を当て 「からかわれているのか、鈍感なのか…。」 と呟いた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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