アラン・マクニッシュ（Allan McNish 1969年12月29日生）［スコットランド・レーシングドライバー］
マクラーレンやベネトン、ルノーなど多くのチームで長くF1のテストドライバーを務めた。2001年にトヨタのテストドライバーとなり、2002年のオーストラリアGPにてデビュー。予選16位からスタートするが、1周目の多重クラッシュに巻き込まれリタイア。続くマレーシアGPで予選18位から7位に入る走りを見せた。初めての完走であり、これがF1キャリアで最高順位となった。日本GPは予選を走っている際に130Rでクラッシュ。ウォームアップ走行はしたが、FIAのメディカルチームから出走の許可が出なかった。これがF1キャリア最後のレースとなった。
またル・マン24時間レースでは、1998年にポルシェで参戦し、総合優勝。2008年にリナルド・カペッロ、トム・クリステンセンとアウディスポーツ・ノースアメリカにて参戦し、総合優勝した。
2011年6月11日に行われたル・マン24時間レースにアウディで参戦。アウディはこの年から新型マシン「R18 TDI」を投入した。しかし、ル・マン24時間レースの歴史の中でも最大のクラッシュが発生する。56台中グリッド5番からレースをスタートしたマクニッシュは、わずか9分43秒後に先頭に立とうとしたが、彼のアウディは周回遅れのアントニー・ピエール・ベルトワーズのフェラーリ458と接触した。2台のマシンはダンロップ・カーブでコースを外れ、マクニッシュのマシンは時速約321kmで横滑りしたままグラベルトラップを横断し、タイヤバリアに向かった。コントロールを失ったマシンは途中横転しタイヤバリアに激しく衝突、上向きで浮いた状態で回転しながらタイヤとカーボンファイバーの破片を撒き散らし地面に落ちた。その残骸はマシンの姿をほとんど留めていなかった。
誰もが最悪の事態を想像する中、マーシャルたちが駆けよりマシンの残骸をひっくり返したところ、驚くことにマクニッシュは自力で脱出してきた。彼は近くの病院に搬送され、全身検査を行ったが問題なしと診断された。
あまりにも激しいクラッシュにもかかわらずマクニッシュが無傷だったことは奇跡的と言えるが、アウディのモノコックの安全性が高かったこと、衝突した先が比較的柔らかいタイヤバリアだったことが奇跡を生んだと言えよう。また、タイヤバリアのわずか6m後ろには満席の観戦スタンドがあったが観客も無事だった。
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